前回で、お釈迦さんの「毒矢の喩え」を紹介して、
この喩え話が弟子に「二つの意味」を示唆していると書きました。
一つは正覚者への修行は、すべてを知ってから行うものでもないですよ。く、知ってからしか行わないとすれば、何も知れないうちに、死に果ててしまうものだよ、との諭(さと)しです。
二つ目は遠回しに、輪廻思想を否定しています。
輪廻思想から言うと毒矢に当たった苦しみは、前生で、一体どんな因縁でこうなったのやらと、アレコレと原因を
過去世に求めるのですが、お釈迦さんは、前世うんぬんより、すぐに毒矢を抜いて、今、この現実の苦しみを取り除くことが肝腎なのだよ、という諭しです。
その後、弟子はサンガへ残り、修行を続けました。
「霊肉一元論で、業(カルマ)もあり、またこの世界は、すべてが輪廻転生している」へ続く