日本刀の手入れは、まあ、3ヶ月か、半年に一回は、刀身の古い油を、柔らい和紙を、よく揉んだもの(テッシュでも良いようで、私は近年は、これにしました)で、古い丁子油を除去してから、また新しく、丁子油を塗布しておきますと、錆びることはありません。
振り回す30~~~40万の居合い刀ならともかくも、古い時代の銘刀を錆びさせることは、愛刀家としては、大変な恥です。愛刀家失格というものです。
昔は、刀は現代よりも、もっと高価なものでしたし、武士の魂でしたから、大名家の蔵の中に保存してある刀剣類を、もし係りの「お腰物方」の侍が、誤って、錆びさせてしまった事が明るみになれば、切腹ものだったでしょう。
鉄は酸化して、元の鉄原子に帰納したくて仕方のない物質ですが、このように油で空気の中の酸を遮断して、錆びないようにされてきました。
名刀類は、そのくらい気を使って伝来したものですから、残っているわけです。
特に平安末期や鎌倉時代の鍛冶者の「入念作」は、大切にされましたので、研ぎ減りもなく、健体で残っていますから、重要文化財や国宝に指定されているものです。
こういう名刀は本来は、値段で論ずるものではなく、当時の大名が家宝として、例え「一国」に替えても、手離さないぞ、としたものです。