リイド社の「乱」の編集者とジエット機で鹿児島市に一日泊まりで行ったことはあったが、
九州をゆっくりと見てみたいと思って来た。
「柳生兵庫助」の連載の終了をキッカケに9月12日、東京の有明埠頭からフェーリーボートで、夕方出発、徳島を経由して、九州の「新門司港」へ、14日の朝6時に到着。
船の中で知り合った37・8歳の人から、熊本県の植木町に樹齢800年の樟(クス)の木があると聞いていたので、
17日に、植木町に入り
地元から
「寂心さんの大クス」と呼ばれている大樹を観に行った。
高さ29m、幹の周囲が13.3mという大樹は、
大地にガッシリと太い根元を張り伸ばし、荘重、荘厳、辺りを払う威容に満ちていた。
ここまでの大樹に成るには昔から、そして現在も、木の手入れに詳しい「樹医」たちの丹精もあったことと思うが、
鎌倉時代から長く生き抜いて来た、老樹のいのちと、様々な人間たちの歴史を観てきた、その重厚さに、
ただ、合掌するのみだった。
根元の周囲には柵が張られていて、その柵から中へは入ることは憚られたが、
人間と木の大きさを対比したい思いから、
近くの駐車場の車の中で休憩していた地元の男性に頼んで、カメラを渡して樹の真横に立ったところの写真を撮ってもらったのが、上の写真。
途中で小雨が降ってきたが、傘を差しながら、二時間ほど、遠くから離れては観、近寄っては観ていた、午後のひと時だった。