<小沢民主代表>テロ特措法延長反対を伝える 米大使と会談
毎日新聞社 08月08日 20時08分
民主党の小沢一郎代表は8日、党本部でシーファー駐日米大使と会談した。シーファー氏は、11月1日に期限切れを迎えるテロ対策特別措置法を延長する法改正について「日本の貢献は非常に重要だ。
この法案の影響を熟慮してほしい」と述べ、同法に基づく自衛隊による米軍支援活動の継続を要請した。
小沢氏は「
米国の行動を国連安保理でオーソライズ(承認)する決議はない。
米国と共同の活動をすることはできない」
と同法延長に反対する考えを伝え、大使の要請を拒否した。
会談はシーファー氏側から要請した。具体的な法案の対応をめぐり、駐日米大使が野党党首に直接要請するのは異例で、参院で民主党を含む野党が過半数を占めたことに対して対応を迫られた。
小沢氏の意向から、会談は終了までメディアに公開された。
シーファー氏はテロ特措法に基づく日本の活動について「国際治安だけではなく、日本の治安にとっても重要だ。日本の石油の90%は部隊が巡回する地域を通っている」と力説し、支援継続を求めた。
同時に「党首が決断するのに必要であれば機密情報も含め提供する」と述べ、情報公開を求める民主党の姿勢に配慮する考えも示した。
また「アフガニスタンの治安を守る国連決議はある。国連が認めた活動に参加するチャンスだ」とも強調。
「一つの党派に関係なく超党派で考えてほしい」と述べ、政局的な思惑へのけん制もみせた。
これに対し小沢氏は、アフガニスタン戦争について
「
米国がテロとの戦いだと国際社会のコンセンサスを待たずに始めた」と反論。
国連の平和維持活動には積極的に参加するとしながらも、アフガニスタンでの米軍の活動について「直接的に根拠となる国連決議はない」として、参加できない考えを明確にした。
テロ特措法に基づき、海上自衛隊はインド洋に艦艇2隻を派遣、米国を中心とする艦艇に給油活動をしている。小沢氏が公式の場で派遣継続に反対する立場を米側に伝えたことで、秋の臨時国会で民主党と妥協点を探ることは困難との見方が、政府・与党内には強まっている。【須藤孝】
◇民主党の小沢一郎代表とシーファー駐日米大使の会談の要旨
◆シーファー大使 秋に国会に提出されるテロ特措法(の延長)についての考え方を話したいと思って来た。私は一つの党に関係なく超党派で考えてもらえる問題だと思っている。
(現地の)部隊はテロに反対するための国際的な活動部隊と思っている。日本の貢献は非常に重要だ。日本の貢献は国際的な治安への貢献のみならず、日本自身の治安にとっての貢献にもなる。日本が使用している石油の90%は活動部隊が巡回する地域を通ってくる。
また日本による燃料供給がなければ、英国やパキスタンはこの活動部隊に参加できなくなってしまう。私たちはイスラム教徒の国であるパキスタンの参加を重視している。
小沢代表が最終決断するのに必要な情報があるなら、機密の情報であれ、提供する準備ができている。代表の理解を得ることを期待したい。
◆小沢代表
私たちは日本国憲法9条について「自衛権を行使するのは、日本が攻撃を受けた場合、あるいは急迫不正の侵害を受けた場合に限る」と解釈している。
平和を維持するための活動には積極参加するが、あくまで国際社会の合意の上で、国連の活動として参加するということだ。
アフガニスタンでの戦争はブッシュ米大統領が「米国のテロとの戦いだ」
と言って、国際社会の合意を待たずに米国独自で始めた。
日本の直接の平和や安全とは関係ない。
直接的に(日本の)部隊を派遣して、米国あるいはほかの国と共同活動をすることはできない。